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皆春荘の建物
kaishunsou BUILDING

皆春荘は、第23代内閣総理大臣を務めた清浦奎吾(1850-1942年)が明治40年に土地を購入し、別邸を構え、
大正3年(1914年)に明治の元勲・山縣有朋(1838-1922年、第3代・第9代内閣総理大臣)の小田原別邸である
古稀庵に別庵として編入されました。

山縣の小田原別邸は古稀庵、暁亭、皆春荘で構成され営まれましたが、現在も当時の場所に残る建物は、
皆春荘のみとなっています。
主屋は、座敷棟、玄関、台所棟、離れ棟、納戸棟から成り、面皮付部材、絞り丸太、曲線を用いた垂壁等、
数寄屋風建築の特徴を随所に見ることができます。

庭園は、山縣が自ら作庭を指揮したと伝えられ、何より自然の造形が重視されているのが特長で、かつては石垣山
箱根山や相模湾も眺望できました。時代とともに周辺環境や景色は変わりましたが、庭園内には四季折々の豊かな
表情が今も残されています。

表門

皆春荘の表門は、周辺の景観と馴染む山家風(やまがふう)の棟門で、
虫食い入りの木材、竹などを用いた装飾性の高い扉や袖塀を有しています。
門の屋根は、京都や奈良の寺社でよく見られる「こけら葺き」で、関東では
珍しい工法です。
また、表門から主屋玄関まではなだらかな石段の趣のある参道が続き、
参道を上るにつれ微妙に狭くなっており、主屋の位置を実際よりも遠くに
感じさせ、敷地を広大に見せる工夫とみられています。

※「こけら葺き」とは、屋根の覆い方の一種で、木材を薄くした板(こけら板)を
何枚も重ねて屋根を覆う工法です。京都の鹿苑寺(金閣)や慈照寺(銀閣)等
西日本でよく見られる工法です。

玄関

玄関は、主屋の東西の軸線から45 度ばかり西にふれていて、表門とほぼ
正対するかたちになっています。
主人や客人を正面から迎えるという趣向の現れと考えられ、参道からは
主屋の玄関以外が見えないような造りになっています。
扉は、普通なら外開きとなるところ、客人を招き入れるという強い趣向の
内開きとなっており、扉の窓には細かな二重格子(立体的に組んでいる)の
細工が施され職人技の粋がみられます。
内部は、内開き戸の格納の関係もあってかなり広々しており、入母屋風の
屋根の天井は、化粧した屋根裏の構造を直接見せる駆け込み天井となって
います。

式台は三角形状で、これによって玄関と主屋の主軸のぶれが調整されています。
玄関は襖で囲まれ、それらには雲母入りの唐紙(絵柄は紅葉)が二重に刷っていて、
立体的に見えるようになっており、
絵柄から紅葉の葉の小さいものを特に好んでいたとのではないかと伺えます。


「皆春荘」の書
正面に掲げられる「 皆春荘 」の扁額は、山縣有朋の自筆といわれ、「含雪」と
あるのは山縣の号。

座敷

主屋は、寄棟造り、桟瓦葺き、玄関から東に進んだ南側に10畳と8畳の
座敷二間とその奥に離れとなっています。
玄関からの動線は二重廊下となっており、南側に来賓用の畳廊下、
北側が板廊下となっており、来賓と家人が合わない工夫がされています。


二間とも明るい庭園に張り出す形で配置され、優れた眺望と陽光を
精ー杯取り入れるための趣向と考えらます。
右手の奥に床の間の置かれた10畳が数寄屋風と書院風とが組み合わされた
数寄屋風書院の主座敷で、西側が次の間となっています。
二間とも書院造り風に天井が3メートル近くと高く、
客間として特別広いということではないが、ゆとりを感じられます。
庭園に面した縁側の天井は駆け込み天井、それぞれに庭と行き来するための
大小2個の沓脱石がおかれ、座敷と庭園との一体感を示しています。

建具も凝っており、二間の境界の欄間は書院風の漆塗り框の筬欄間
(細い縦の桟を主体とする)、座敷手前の腰障子は、猿頬格子、框は漆塗り、
内側が襖張り、外側が板張り、座敷襖の引手が松となっており、襖ー連に波の
絵柄が描かれています。

離れ

庭園の東側に突き出るかたちで配置された8畳間は、山縣が「月見の会」を
した部屋といわれています。
部屋の東側庭園には、山地を表現した盛り土、流水の落ち口があり、高木が
繁っており落ち着いた深山のような雰囲気を醸しています。


天井が高く長押を据えるなど、座敷と共通する点も多いが、床柱と天井の竿縁に
白樺(皮付きの丸太)を用い、山里の庵のような野趣を感じさせます。
また、襖などの引手には作者銘(銘は解読できていない)があり、名のある
工芸家に依頼した特注品と見られます。

北側に付書院を配置し、地袋の絵は川と稲穂、襖と腰障子には砂浜と松が
描かれ、東面の庭園との関連をもうかがわせる趣向と考えられます。

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